公益財団法人古泉財団

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2025年度助成対象者審査委員会

講評

 審査委員の皆さまには、年末年始のお忙しいところ、審査して頂き、ありがとうございました。
 そして本日は、お忙しい中お集り頂き、活発な議論を頂きました。
 先ほど、代表理事からお話がありましたが、「研究の萌芽を育てる」ということで、特に若い人、女性、外国籍の方に頑張ってもらいたいという趣旨で審査をして頂きました。
 そのうえで、採用にあたっては、特定の大学に偏ることなく、広く県内の高等教育機関に配分するということにしています。
 同一大学からある程度の人数を採用したら、他大学の採用へとご配慮をお願いしました。

 今年の審査を振り返りますと、これまでに比べて、研究の幅が広がってきた印象があります。
 募集要項に掲げた3つのテーマのうち、食と健康が1つのテーマとして位置付けられていますが、運動的な要素、そして基礎的な要素も入ってきました。
 また、初めて医師が申請した研究があり、研究内容が公募の趣旨に沿っていたと評価しています。
 今回は、外国籍の方3名の応募がありましたが、1名のみの採用が残念でした。
 また、海外をフィールドとする研究が増えたことは良かったと思います。
 前年度の採択を得たものの中に今年度も再度申請する研究が8件ありました。
 これらの研究は、良いものもありますが、進展性の見られないものも見受けられます。
 中には、去年と同じ内容ではないかと思われる研究もありましたが、そういう研究は、低い評価になっています。
 一方で、女性研究者が増えているのは、大変いいことだと思いました。
 全員の申請書の中でも、女性の活発な研究者が多くて、採用された研究も多く、大変心強く思いました。

 今年の申請を総括しますと、新潟食料農業大学から7名推薦して頂きましたが、何れもしっかりした申請書で、採用できないものもあり申し訳ありません。
 是非他大学も見習い、ブラッシュアップしたものを申請してください。
 さらに言えば、審査委員が採否の判断に困るような研究を申請してもらいたいと思います。

 最後に申し添えますが、文科省の科学研究費申請のコピー・アンド・ペーストで申請するのは、大変お粗末で、本気度が疑われます。
 ましてや自分の略歴を間違うのは、審査委員にも大変失礼なので、是非改めてください。

 以上をもって、今年の講評といたします。

2025年1月29日
審査委員長  髙橋 姿

助成対象者一覧

(敬称略)

社会科学系(8名)
氏名 所属 研究題目
原口 彩子 新潟医療福祉大学                    
心理・福祉学部
教授
共生型アウトドアリビング機能を備えた“すき間農地”活用の実践的研究
齋藤 新貴 新潟医療福祉大学   
大学院医療福祉学研究科
保健学専攻
大腿骨近位部骨折患者に対するビタミンD付加飲料摂取による血清25(OH)Dの改善効果-二次性骨折予防に向けた栄養療法の標準化を目指して-
佐藤 広明 新潟国際情報大学
国際学部
国際文化学科
新潟の無形文化財としての酒造りと食文化を活用したインバウンド観光の可能性と展望
大﨑 美奈子 長岡崇徳大学   
看護学部
助教
摂食障害の子どもをもつ母親が、症状に影響されている子どもを受け入れていくプロセス
宮 将太 新潟大学   
人文学部
人文学科
農的共同作業がもたらす共同性構築の考察-岩室温泉大祭と移住者コミュニティの比較から-
岡田 天太 開志専門職大学 
事業創造学部
助手
PBLを通した学生の食習慣の変容-米食関連企業を対象とした事例研究-
板垣 順平 長岡造形大学 
大学院造形研究科
准教授
食や農を題材とした聞き書き手法による新たなメディア媒体を用いた地域愛着の情勢を図る実践研究
庄司 義弘 開志専門職大学 
事業創造学部
講師
日本酒のテロワールの確立による清酒製造業の競争力強化に関する研究
自然科学系(11名)
氏名 所属 研究題目
郎 笑杰 新潟食料農業大学            
大学院食料産業学研究科
食料産業学専攻
胎内市周辺に250年前から伝わる絶品の柿「伝内柿」の美味しさの解明と地域特産化のための技術開発
佐藤 玲生 新潟食料農業大学 
食料産業学部
食料産業学科
新潟県で多発しているイネごま葉枯病菌の集団遺伝学的解析のためのSSRマーカーの開発
小牟田 真佑 新潟食料農業大学   
食料産業学部
食料産業学科
バランゴンバナナ果皮由来のメタン発酵消化液の環境安全性の検証
池間 日佳里 新潟大学       
大学院自然科学研究科
生命・食料科学専攻
加齢による精巣の酸化ストレスと鉄代謝の関係性とその制御法の開発
髙橋 優花 長岡技術科学大学   
大学院工学研究科
先端工学専攻
次世代の食用油脂生産に向けた微生物形態遷移イメージングシステムの開発
富田 寛也 新潟県農業総合研究所   
基盤研究部
主任研究員
重粘土質土壌の水田転換畑におけるアブラナ科野菜の特性評価
佐々木 翔太郎 新潟工科大学     
大学院工学研究科
生産開発工学専攻
抗肥満作用を持つ機能性食品素材としてのデンプン分解米胚乳タンパク質の可能性
村井 匠 新潟大学       
大学院自然科学研究科
環境科学専攻
豆腐を対象とした非破壊品質評価についての研究
岩浅 啓矢 新潟大学   
大学院医歯学総合研究科
医科学専攻
子嚢菌抽出物の血糖改善効果の基礎的検討
曽根 美奈子 新潟医療福祉大学       
大学院医療福祉学研究科
健康科学専攻
大学男子柔道選手における試合前の減量に関する研究
萩原 真 新潟県立大学    
人間生活学部
講師
キノコに含まれる成分による免疫力活性化機構の解析

意見

【評価の観点について】
 ・研究の将来性、高齢者という観点で評価を行った。
 ・研究の将来性は、新潟の食料産業の課題を含めて考えることを採点のポイントとした。
 ・研究分野が多岐に渡ったが、この助成金らしい研究を選ぶのが大事だと考えた。
 ・新潟らしさを重視して、コメ、酒、大豆といったキーワードを大切にした。
 ・若い方の研究方法や計画の書き方は、まだまだなところはあるが、伸び代を考慮して評価した。
 ・研究のクォリティだけではなく、1年間の助成金であることから、1年での実効性を評価した。
 ・新潟ならではの食品を使った研究に重きを置いて審査をした。
 ・昨年に引続き申請した研究は、昨年とほぼ同じ内容の申請である場合は、低く評価した。

【申請内容について】
 ・新潟市は、佐野藤三郎氏が乾田化した耕地の上に田園型政令指定都市ができたことを踏まえ、土地利用型の農業技術が将来に向けて重要だと考える。
 ・食品会社、農家とも激減していることは、生物学的に見ると、増殖期が終わり減衰期に入ったことになる。減衰期に入った生物は、身を寄せ合っていく方策を取るので、共生型の技術が絶対に必要になる。
 ・食に直接関係する研究や新潟らしい研究が出てくることを望む。
 ・科研費に申請した書類をそのまま出すのではなく、この助成金に合わせた形で申請してもらいたい。
 ・全体的に見て、若い方、特にこれから大学院に進学される方の研究は、力強さと魅力を感じた。
 ・それぞれ大学として重きを置く研究があり、それを中心に展開されている印象を受けた。
 ・国際的な価値に繋がる観点、食を中心とした作り手と受け手の2つの観点を統合するような観点があると良い。
 ・テーマは大きいが、研究内容を見ると、1年での実現性に疑問がある研究が見られた。
 ・推薦書に「彼女は」など、女性の研究とわかるように記載してもらえると評価しやすい。

【総括】
 ・当初から比べると幅が広がっており、食と健康のテーマには、運動的な要素が入ってきた。
 ・外国籍の方で3名申請があったが、1名のみの採用で残念であった。
 ・海外をフィールドとする研究もみられるようになってきた。
 ・前年度採択を踏まえて再度申請する研究は、良いものもあるが、進展性のないものも見受けられる。
 ・進展性のない研究は、審査の結果、低く評価された。
 ・女性研究者の申請が増えており、採用数も多く、活発な研究者が多くて大変心強く思った。
 ・初めて医師の申請した研究があったが、研究内容が大変良かった。
 ・新潟食料農業大学から7件申請して頂き、何れもしっかりした申請書であったが、大学のバランスを考慮して3件しか採用できず、大変申し訳なかった。
 ・他の大学も見習って、採否の判断で審査委員を悩ませるような研究にブラッシュアップして申請を出してもらいたい。
 ・申請書は、科研費のコピー・アンド・ペーストではなく、本気で申請してもらいたい。
 ・自分の略歴を間違うのは、審査委員に失礼でもあるし、本気度が疑われるので、改めてもらいたい。